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花を最初に愛したのはネアンデルタール人であったと伝えられている。 今から10万年〜4万年前頃まで存在した、原生人類の遠い祖先であるネアンデルタール人の遺跡から 死者に花を手向けたことを示す痕跡が見つかつていることは有名である。 イラクのザクロス洞窟の中に、埋葬されている遺体の廻りの土壌から花粉の化石が考古学研究者によって検出された。 花粉は、ムスカリ、ヤグルマソウ、タチアオイ、キンポウゲ、ノコギリソウなどであったと言う。 洞窟の奥深くを色とりどりの花ばなで遺体を飾り祀ったことになる。 死者を慈しむ心、そして美を愛する心は文明など持たぬずっと以前にネアンデルタール人の人々によって 美という概念を誕生させていたことになる。

K5C5A5+5P5/花の進化は1億3千万年前頃に被子植物が生まれ、3千万年前頃に「属」にあたる植物が、1千万年前ごろに「種」の現形が、 そして百万年前頃に現在とほぼ同じ種子植物がこの惑星を覆っていたことになる。《花の惑星の誕生である》 花々の咲き誇るこの惑星に人類はずっと遅れて生まれた。人類の歴史は花との関わりを抜きには考えられないのである。 花を意識することは高度な文化性が必要と言われ、花は人間生活にとって文化的存在であり、愛や幸福や平和の象徴でもある。

Tadamasa Yokoyama